さて、『本屋の新井』に続きまして、『探しているものはそう遠くはいのかもしれない』を読みました。
表紙からしてちょっと異様です(笑)。
書店員が鍋をおたまで叩いています。それも、満面の笑顔で。
どういうこと?と疑問に感じながら、エッセイを読み終え、ああ、この新井さんなら本当にこんなことしているかも…と納得してしまいました。
はじめまして、泥棒です。37歳、独身です。
なんだ、このはじめましての挨拶は…と思う「はじめに」。バイトに逃げられたという「はじめに」のエピソードから爆笑でした。
他にも妄想大爆発なエッセイの数々。そして、どうも本当らしいエピソードを赤裸々に綴ったエッセイも。お金がなくて家賃が払えないとか、学生時代に茶髪が駄目だと言われたから水色に染めた、色は駄目だと言われたから白髪にしたとか……本当かしら。
特に制服のベストは、ピンストライプのスーツ生地で、真夏はあせもができるほどの厚手だった。
だがそのおかげで、私の胸はいつも開放的だった。ベストが2つの突起を隠してくれるため、大嫌いなブラジャーをつけないで済んだのである。制服の下にスポーツブラすらしないなんて、小学4年生以来のラリホーだ。
誰も私がノーブラであることを気づかなかった。約7年間も。
ははは、まいったか!
終始、こういうノリで、思わず笑ってしまいました。
たまに新井さんの価値観が率直に書かれていて、うん、そういう考え方もアリだよねと思いながら読んだ箇所もありました。例えば、結婚についてのこんな文章とか。
寂しいという感情が湧かない人は、寂しいとできないことに向いていると言える。
つまり、私ほど一人暮らしに向いている人はいないのではないか。
独身で生きていくこと、子供を産まないで生きていくこと、無人島に漂流することにも向いている。
人間の「寂しい」という感情は、生きていく上で本当に必要か。
こういう風に思っている人や、別にひとりでもいいやと思っている人って意外と多いと思う……(結婚して子供を持った私は、今はもう説得力がないから言いませんが、独身時代はこの新井さんの考えに近いものがありました。結婚したいとも思わず、子供が欲しいとも思わず……。今も子供が2人以上欲しいとは思えず……思えない自分が母親失格っぽいから、「子どもは2人はいないと」「二人目は?」と言ってくる他人には曖昧に笑ってごまかしていますが……^^;)。
脱線しましたが、新井さんのエッセイを2冊続けて読んだ感想は……。
新井さんの日々のエピソード自体も面白いし、それを面白おかしく表現しているのもすごいなぁと思いました。
(三浦しをんさんのエッセイに雰囲気は近いかも)。