先日、『ダルちゃん』という漫画の感想をアップしました。
この『ダルちゃん』という作品が新井賞受賞作らしいのですが、「ん? 新井賞って何だろう」と疑問が……。いえ、芥川賞や直木賞、本屋大賞などは聞いたことがあるのですが、新井賞は初めて耳にしたので、どういう賞なのか調べてみました。
新井賞とは…
三省堂書店の書店員・新井見枝香さんが、個人的に面白かった、推薦したいと選定した本に与えられる賞のようです。直木賞・芥川賞と同じ日に発表され、直木賞らよりも売れることもあるとか。ほう。
新井見枝香さんってどんな人?
では、書店員だという新井さんってどんな人なんだろうとまた興味が出てきました。なになに、東京都出身の1980年生まれ……あ、同い年だと更に興味が(笑)。
アルバイトで書店に勤務していて、契約社員の数年を経て、現在は本店の文庫を担当されているそうです。新井さんが作るポップはおもしろく、評判だとか…。
また、作家を招いた「新井ナイト」というイベントもこれまでに300回以上、開催しているようです。テレビやラジオにも出演なさっているみたい。
新井さんの本を読んでみたい
というわけで、新井さん個人に興味を持ち、彼女が書いたエッセイを図書館で借りてきました。
『本屋の新井』、『探しているものはそう遠くはないのかもしれない』の二冊です。
『本屋の新井』を読んでみました
とりあえず『本屋の新井』を読み終わりましたので、感想を書いておきます。
本にまつわるエッセイです。書店でのこと、読んで面白かった本のことなど。……と、まあ、そういう内容の本は他にもあると思うのですが、新井さん個人の視点と表現の仕方が、ちょっとくすっと笑える。
…(中略)…『名探偵コナン』のテーマが私の頭に流れた。「見た目は大人、頭脳は子供。」いや、このままいくと数年後には「見た目は中年、頭脳は衰え、心は未熟」だ。それはつまり残念な大人である。
私は常に、SNSをする自分を観察する自分のためにSNSをする。
それでわかったことといえば、私の「本が好き」という100の気持ちのうちの何%かは、「本が好きな私が好き」という気持ちである、ということだ。
だからもう、「純粋に本が好き」幻想とはおサラバしよう。アホらしい。どんな大恋愛にだって打算はあるし、他人の目なくしてなりたい私にはなれない。
不純な動機を公表してもなお、私が本を読む姿はかっこいいはずだ。
スマホに文字を高速で打つ姿より、文字がびっちり詰まった真っ黒いページを高速でめくる姿を、好きな人には目撃してほしい。
私が恋するステージの君が、たまたま同じ電車に乗り合わせて、彼に気付かず読み耽る私に恋をするといった妄想なら、飽きるほどしている。
こんな感じの文章が、私のツボにはまり、面白くてさくさく読んでしまいました(笑)。
(「本が好きな私が好き」ってわかる! 自分にもそういう部分があります。中高生の頃は特にそういう自意識過剰なところがありました。純粋に好きだったというのももちろんあるのですが、ニーチェやヘーゲルの哲学本を読んで、なんかちょっと難解な本も読んでる自分ってかっこいいかも~という浅ましい意識がありました。太宰『人間失格』の主人公みたいにね(笑)。)
それにしても、新井さんのこのエッセイで取り上げられている本のジャンル多様なこと! 漫画、外国文学、日本文学、BL、実用書などなど。読んできた本のあの場面、あの言葉といった風にさらりと紹介できるのがすごいなぁと思いました。
『探しているものはそう遠くはないのかもしれない』は更に笑える
で、今、読書中なのがこちらですが、これは『本屋の新井』よりも笑えます。昼休みに読んでいて、思わず、ぶっと吹き出してしまうほどです。
「はじめに」のエピソードからして笑えました。
会社員に向いてない。
結婚に向いてない。
大人に向いてない。
エッセイを書いてみて、改めて自覚しました。
私も生きるのに向いてないッスとか言って、逃げ出したいです。
何というか、自虐的なのだけど、それをおもしろいエッセイに仕上げているなぁと思います。
みなさん、日本の四季を感じながら、豊かでゆとりある生活を送っていらっしゃいますかしら?
ギョエーそういうの無理ー!
そういう素敵な暮らし系エッセイをお探しでしたら、お近くのスタッフにお声掛けください。そこらへんに売るほどございますので、よろこんでご案内いたします。
新井さんのエッセイは、確かに「素敵な暮らし系エッセイ」ではないです(笑)。けれど、ものすごく人生を謳歌しているように見えます。こういう切り口で日々の出来事を見てみたら、楽しそうって思えました。
また、最後まで読みましたら、2冊目のエッセイについても、感想を綴りたいと思います。