昨日、途中まで読んだ感想を書いた本「イノベーション・オブ・ライフ」を全部、読みました。
「最高の人生を生き抜くために」、家族や生き方について考える
前回では「幸せなキャリアを歩む」ということがメインでしたが、第2部、第3部では「幸せな関係を築く」「罪人にならない」といった家族や生き方についてがメインの話でした。
あなたが人生を評価するものさしは、何だろう?
ラストに書かれていた一文ですが、読み終わった今、改めて自分の人生について、何をすべきか、どう生きるべきか、考えてみようと思いました。
巷には仕事術やら幸せになる〇〇の方法といった答えを簡単に与えてくれるような本がたくさん出ています。私もそういった本を読んだりもします。でも、「イノベーション・オブ・ライフ」を読み、人生の問題はそんなに簡単に答えは出ないものだし、考えていく過程にこそ意味があるのかもしれないと考えました。
じっくり時間をかけて人生の目的について考えれば、あとでふり返ったとき、それが人生で発見した一番大切なことだったと必ず思うはずだ。
また、家族や子育てについてのことも書かれていました。人生に何より大切なのは家族だということ……。このことは、子どもを持った今だからこそ、共感することができた考えでした。
仕事をすればたしかに充実感は得られる。だが家族や親しい友人と育む親密な関係が与えてくれる、ゆるぎない幸せに比べれば、何とも色あせて見えるのだ。
この本では第一部でキャリア(仕事)のことが書かれており、二部で家族、三部で生き方(少し宗教っぽい)が書かれていますが、二部からの伴侶や子育てについての考え方も確かにそうだなぁと共感しながら読み進めることができました。
子どものために、例えばサッカーチームに入れる、塾に通わせるなどの「資源」をたくさん与えるのがいい親だと思っている人が多いが、そうではないということ。
どれほど多くの経験をさせても、心から打ち込めるような機会を与えない限り、将来の成功に必要なプロセスを身につけさせることはできない。また子どもにこうした経験をさせる役割を他人任せにする、つまりアウトソーイングすれば、子どもをあなたの尊敬、賞賛するような大人に育てあげる、貴重な機会を失うことになる。子どもが学ぶのは、あなたが教える準備ができたときではない。彼らは、学ぶ準備ができたときに学ぶのだ。子どもが人生の困難に立ち向かうそのとき、あなたがそばにいてやらなければ、彼らの優先事項を、そして人生を方向づける、貴重な機会を逃すことになる。
つまり、資源をいくら与えても、子ども自身がやる気にならないと意味がないし、塾やスポーツクラブなどの習い事といったアウトソーイングをすれば、親が子どもの成長に関わる機会を失ってしまうということですね。勿論、筆者は別にアウトソーイングが全部だめだと否定しているわけではありません。バランスが必要だということを述べていました。
そして、子育てについて、ハッとしたのが以下の筆者の言葉でした。
わたし自身がこれまでの人生をふり返ると、両親の与えてくれた最もすばらしい贈り物の一つが、二人がわたしにしてくれたことよりも、わたしにしてくれなかったことにあると気づかされる。
何でも親が代わりにやってあげるのではなく、子どもにさせることが子どもの成長を促すということです。うーん、我が家でも子どもにお手伝いをさせると時間がかかってしまい、忙しいときだとついつい親がやっちゃうのですが、なるべく子ども自身にやらせてみよう(たとえ、余計に手間がかかっても^^;)と思いました。
そして、第三部の最後の方で、筆者が述べていたことも確かにそうかも…と思いました。人生の評価は、部下の数や賞の数といった数字ではない、自分が向きあってきた一人一人の人間なのだ、ということ。
人生を考える上で参考になる良書
この本は経営学の理論に基づいて、合理的な視点から書かれています。色々な企業の実例が挙がっており、理論を具体的に知ることができます。でも、それだけではなく、大病を患ってもなお教鞭を取る筆者自身の生き方や人生への考え方が散りばめられており、そこに深く心を揺さぶられました。キャリアや生き方を考える上で参考になる良書だと思います。
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ
- 作者: クレイトン・M・クリステンセン,ジェームズ・アルワース,カレン・ディロン,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: 単行本
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