ちょっぺこ日記

日々雑感や本の感想、息子の不登校のこと、自分の病気のこと(癌やパニック障害とか)等をつぶやいています。

「おんなのことば」茨木のり子

以前、茨木のり子氏の詩「十二月のうた」を読んだ。

 

熊はもう眠りました

栗鼠もうつらうつら

土も樹木も

大きな休息に入りました

 

ふっと

思い出したように

声のない 子守唄

それは粉雪 ぼたん雪

 

師も走る

などと言って

人間だけが息つくひまなく

動きまわり

 

忙しさとひきかえに

大切なものを

ぽとぽとと 落としてゆきます

 

何となく心に残っていた。

ふと思い出して、先日、この詩が入っている詩集を図書館で借りてきた。

表紙をめくって最初の詩で、がつんと衝撃を受けた。

 

自分の感受性くらい

 

ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて

 

気難かしくなってきたのを

友人のせいにはするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか

 

苛立つのを

近親のせいにはするな

なにもかも下手だったのはわたくし

 

初心消えかかるのを

暮しのせいにはするな

そもそもが ひよわな志にすぎなかった

 

駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄

 

自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ

 

読んで、ああ、そやなぁ…と我がことを振り返り、少し反省した。

そうかもしれないね。