初七日の法要が終わった。
実家にてお寺さんのお経を聞く。浄土真宗のお経、聞いたことがあるようなないような……多分、何度か聞いてはいるのだろうが。シャーリー……ナムアミダー……断片断片だけ意識に引っかかる。
母が遺品の整理をしていたら、古い日記帳が見つかったとのこと。今から17年くらい前からものだ。毎日の出来事がメモ書き程度に綴られていた。
私のこともたまに書いてあった。
〇〇と買い物に行った。
〇〇が見舞いに来てくれた。良い娘に育ってくれて嬉しく思う。
など……買い物に行ったのは、私が大学生の頃、お見舞いは私が就職した頃のようだ。そういえば、そうだったかな、と思い出しながら、読んだ。
良い娘になれたのかは自分ではわからないけれども、祖母がそんな風に思ってくれていたなら、よかった…としみじみ思う。
ふと、手帳の初めのページに夫の名前と住所が書いてあった。私の夫の名前である。
……はて、この手帳は私が21歳の頃のものだ。夫と会ったのは更に前、私が15歳のときなので、祖母も名前は知っていたかもしれないが、どうして名前が書いてあるのだろう。
夫には色々世話になっていたが、付き合っていたわけでもなく、ましてや17年前の段階では将来、結婚するとは思いもしていなかったというのに。
どうして?
もう答えを聞くことはできないけれど、まあ…祖母も知っている人と結婚したんだよ、と遺影に向かい、報告してみた。
一応、結婚した際に施設にいる祖母に報告はしたのだけれど、多分、認知症で理解できていなかったと思うので。