図書館で予約していた『5分後に意外な結末①赤い悪夢』が貸出可能になりましたというメールが届いたので、早速、借りてきた。
どの話もショートストーリーなのでさくさく1冊読了。昔、どこかで読んだことがあるような話も含まれていた(「猿の手」とか)。
全部で30話ほどある物語の中で、一番、印象的だったのが「幸福論」という話だ。
毎日、朝早くから夜遅くまで寝る間も惜しんで働き、事業で成功した主人公。久しぶりの休暇で南の島を訪れたところ、港で若い漁師に出会う。
その漁師は、朝早くほんの数時間だけ漁をして、そこから寝るまでの時間はこんな風に過ごしているという。
「そうだな、子どもたちと遊んで、それから女房と一緒にゆっくり昼寝をして、起きればもう夕方さ。それから行きつけの店に行って、友達と一杯飲んで、気持ちよくなってきたらギターを弾きながら歌でも歌って、眠くなってきたら家に帰って寝るのさ」
それを聞いた主人公は、そんなルーズな生活はやめて、もっと儲けて幸せになれる方法を教えてあげると色々とアドバイスを伝え始める。今よりもっと働く時間を増やして、お金を貯めて、大きな漁船を買って、商売して……最終的には20年ほどで億万長者になって仕事から引退できる、と。
すると漁師は「億万長者になれば、何ができるんだい?」という素朴な疑問を口にする。それに対して、主人公が諭すように答えたのが、こちら。
「時間はたっぷりあるんだから、好きなように過ごせばいいのさ。そうだな、孫たちと遊んで、疲れたら奥さんと一緒にゆっくり昼寝をすればいい。起きたらバーにでも行って、友だちと一杯飲んで、気持ちよくなってきたらギターを弾きながら歌うのさ。それで、眠くなったら家に帰って寝る。そんな毎日が過ごせるだろうよ。どうだい、素晴らしい人生だろ?」
……シュール、と言いますか、何だか自分自身の生活を振り返って、色々考えてしまった。
最近、息子に「お母さんは何がしたいの?」と聞かれて、「お母さんは陽だまりの中で昼寝がしたい。ごろごろしたいなぁ」と答えた。息子には、のび太みたい…と呆れられてしまったけれども。
本当は、幸せの青い鳥(昼寝)はすぐそばにいるんだろう。忙しい忙しいと体を壊すまで働いて(今はそんな働き方はしてないし、するつもりもありませんが)、何を求めているかって、いつでもできるはずの「昼寝」なんだよなぁと考えて、自分の人生は何なんだろう?と、ふと立ち止まってしまった。