昨年の仕事納めの日の帰り道、買っちゃえ~!と3冊まとめ買いしておいた本です。仕事が休みだったということもあり、面白くて一気に3冊読むことができました。
読み始めると、最初は主人公の歩がイランで生まれた場面から始まっていました。この歩が37歳になるまでのことがこの後、自叙伝として書かれていくわけですが、最初はこの歩よりも、その姉の貴子の破天荒ぶりに興味がわき、読み進めていきました。姉が「私を見て!」という自意識を持っているのに対して、歩はそうはならないぞと少し引いた位置から見ていて、自分をうまく取り繕って生きているような気がしました。
姉が不登校になり、引きこもりになり、新興宗教にはまったり……と波乱万丈な人生だなとそちらばかりに注目してしまっていたのですが、途中で歩の人生が転落?します。そのあたりから歩が自分自身の芯を見つける過程が、何だか他人事とも思えず、興味深く読めました。
私が信じるものは、私が決めるわ。
あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。
これらの言葉が胸に響きました。それは多分、私自身が自分の信じるものを見つけていない、迷いばかりの人生を歩んでいるからなんだろうなぁと思います。自分が信じるものを見つけられるといいんだけど…と思いながらも、それは一筋縄ではいかない問題なのかも。
主人公の歩はエジプトで「サラバ!」という言葉を見つけます。歩にとってのそれはこれまで彼が歩んできた人生そのものだったのかも……。